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2012年7月31日 (火)

ヘリコプターの飛行の原理 その1

元々は自分の覚書のための資料を公開するために修正したものである。
ヘリの飛行原理は地面に縛り付けられた人間の感覚では理解しにくい部分もあり、そのため、大学の機械課で習うようなことの説明もあるが、その方が説明するのに簡単にわかり易くなると思うからであり、基本的に中学の理科くらいの知識があれば、相対性理論も不確実性もほとんど関係の無いヘリ程度のものを理解するのに十分である。
中学の理科の知識もないと威張っている人は、ラジコンは子供のおもちゃではないのでラジコンヘリを飛ばすのはあきらめてもらいたい。一歩間違えば死傷者がでる。
最近も正しい充電の仕方を守らずに家を燃やした馬鹿がいる。また子供の頭にぶつけて死なせた気の毒な人もいる。
せいぜいトイヘリで練習してなんとなく理科の知識を実感できるようになってから挑戦してもらいたい。

浮かぶ原理
浮かび上がるのは竹トンボやドラえもんのタケコプターと同じでローターが回転することで周囲の空気を下へ送りその反動で上向きの揚力(浮力)が発生する。理科で習った作用反作用である。ローターは回転面に対して斜めに傾いている(ピッチ)のでその斜面で空気を押す。このピッチは航空機用の翼でいう迎え角(AoA)のことである。
昔ベルヌーイの定理だけで揚力の説明を流体力学の授業で受けたが、単純なベルヌーイの定理だけで説明しようとするのは乱暴な話でかえって理解を妨げる。
ベルヌーイの定理は流体の速度の差が圧力を生みだすというある意味上手い簡単な説明であるが、ラジコンのヘリを飛ばす程度なら、ベルヌーイの定理で簡単に説明できないことをラグランジェの方程式やらなんやらで難しく解かずとも、羽根で空気を押すからその反動で浮かぶし、圧力も変化すると考えた方がずっとわかり易い。写真では空気の流れが線で写っているので翼に当たる空気の流れが良く分かる。翼の下の空気がかなり下の方まで下向きに曲げられているのが分かる。羽根の近くではかなり圧縮されていてこれが圧力のもとになる。翼の上の方では渦を巻いていてこのおかげで失速と呼ばれる状態になっている。失速に至る前は流線の間隔が開いて圧力が下がるのがわかる。

Image002

空気は重さを持っているので、翼の下では空気を押した反作用を受け圧力も上がる。翼の上側では空気はまっすぐ進もうとするので翼の表面から離れようとするため圧力が下がり、下から押す力の効果が高まる。
ちょっとややこしいがヘリを飛ばそうとするのなら知っておいた方が良い。なお、空気が圧力を伝える速度は音速で有限であるが、ラジコンの場合はそれが影響することはほとんどないので気にしないことにする。
なお、翼の上と下に分かれた空気は翼の後縁で同じ時間に到達するというのは何の根拠もないが、広く間違って信じられている。
空気の性質で重さと並んでもう一つ重要なのは粘り気=粘性を持っていることである。水よりはさらっとしているが粘り気を持ち、動こうとしても回りの空気から引っ張られる。
そのため翼のすぐ上では空気の翼に対する速度は翼に粘性でつなぎとめられて0である。翼から離れるに従って回りの空気に引っ張られて速度が付いてくる。この速度が0のところから周囲の空気の速度になるまでの間を境界層といい、この間で動的な摩擦力が生じる。
この境界層には2種類あり、ひとつは、速度の分布がきれいに層をなしている層流境界層で、もう一つは速度の分布が微視的にはバラバラで空気が混じりつつも大きく見れば徐々に速度が変わっていく乱流境界層である。
層流と乱流とは、たとえば水道の蛇口をひねった時、ゆっくりと流れているときは水流の表面はきれいな円筒計であるが勢いよく流すと表面がでこぼこに乱れた乱流になる。
速度が大きいほど乱流になり易い。乱流の方が当然摩擦力は大きくなる。先ほどの剥離による過流はこのどちらかの境界層が翼の表面から剥離したものであり、剥離による抗力よりはどちらも十分小さい。しかし、乱流の方が剥離が起きにくいので速度の遅い航空機ではわざと表面に凸凹を付けたりして乱流境界層にしているものも多い。ゴルフや軟球のボールの表面に丸い窪みがたくさんあるのも同じ効果を狙っている。

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コメント

たびたびすみません。
境界層の状態は結局3種類ありまして、残りひとつは、「剥離」状態になります。
そうです、あの「失速」状態の境界層の状態ですね。
乱流境界層の状態では、翼表面近くの気流の運動エネルギーを取り込むため、揚力は発生している状態になります。
もっとも、層流境界層よりも揚力発生は弱いですね。
で、乱流境界層の次には「剥離」が待ち構えているわけです。
ちなみに、層流状態から乱流にならずに、いきなり剥離する、なんてパターンがありますが、この場合
とってもとっても「抵抗」が少なくなります。
応用例は、投げやりのお尻のイボイボとか、ゴルフのディンプルの類が当てはまります。
逆に、乱流境界層は、空気がはがれにくいのでまとわりついて抵抗が大きくなる傾向がありますね。
この乱流と剥離の状態は、けっこうきわどいので、どっちなの?と判断に苦しむ場合も多いですね。

境界層に剥離を入れるのは最近の教え方なんでしょうか
ゴルフのディンプルは、乱流翼と同じで乱流境界層を作るためと思っていましたが、粘性の影響を受けるには距離が短いってことですかね?(レイノルズ数で確認すれば良いのかもしれないけど)

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