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2012年12月16日 (日)

ヘリコプターの飛行の原理 その5

スタビライザー(フライバー)
メインローターと平行にスタビライザーやフライバーと呼ぶ羽根を付けて外部からの影響を押さえてコントロールしやすくする。ローターとは羽根の位置を90度ずらしている。仕組みは良くこんなものを考えだいたと思うほど巧妙である。AlignのT-rex450のスタビライザーの写真で説明する。

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なおT-rex450のローターは上から見て時計回りに回転するのでジャイロプリセッション効果は押した方向とは右に90度ずれて働くことを覚えておく必要がある。
スタビライザーは回転軸に対し上下とスタビライザーの軸周りに自由に傾くことができるようにローターのハブに取りつけられている。スワッシュからローターへのロッドは、このスタビライザーの回転軸から少しだけオフセットされた位置で回転するように取り付けられたミキシングアームを介して接続される。左側のロッドを下へ引っ張るとミキシングアームの左側が下がるのでミキシングアームの右側が上がりローターを押してローターのピッチが下がる。
もしスタビが右に下がるように傾いていたら、ミキシングアームはオフセットされているので、ミキシングアームの右が下がり手前のローターのピッチが上がる。反対側は下がるので、揚力は手前が強くなりジャイロプリセッションによりローター軸は右回転(時計回り)するような力が働き、スタビライザーと元の角度を維持しようとする。
スタビライザーは自由に回転するので飛行中に何らかの作用で機体が傾いても慣性により元の回転面を維持しようとするので機体の安定は保たれる。

W2

自分の意思でロッドを下げた場合は、スタビライザーが釣り合っても安定の位置よりは常に下がっているため手前のピッチが下がり向こうが上がるのでジャイロプリセッションによりローターは左に傾く。
ところでローターが左へ傾きつつある最中はそれによってジャイロプリセッションが発生し今度は向こうへ傾くまたスタビライザーにもジャイロプリセッションが働く。これは操縦するときにすこし面倒なことになる。
しかし、スタビを横から見るとウォッシュアウトという変な名前のついたローターと平行に上下に動くベースに一組のアームを持った仕組みがよくわかる(下の写真)。スワッシュからは、ピッチのロッドとは90度ずれて短いロッドがこのアームに伸びている。アラインなどのウォッシュアウトアームの反対からはスタビのセンターのフレームの両サイド真ん中にロッドが伸びている。ウォッシュアウトのもともとの役目は、スワッシュのコレクティブもサイクリックも両方きちんとローターのブレードに伝えることだが、多くのラジコンのヘリでは、同時にローターのピッチと90度ずれた所でスタビライザーを軸周りに回転させている。このタイプのスタビライザーには小さな羽根が付いていているのでローターのピッチと90度ずれた所でスタビライザーの回転面を斜めにさせる。ミキシングアームはスタビの中心からオフセットされて付いているので結局90度ずれた所でピッチを動かすもとになる。これが先ほどの少し面倒なジャイロプリセッションを補正する向きに干渉するので操縦がしやすくなる。

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ヘリの安定化装置ではベル式とヒラー式の二つの方式が有名だが、今の説明では前者が重りによるベル式で後者がパドルによるフライバーのヒラー式になる。この組み合わせは逆でも良いし、仕組みから効きを調節するのも簡単である。
こんな複雑だが確実な仕組みを考えた奴は凄い。単に飛ばすだけだったらこんな複雑なことを知らなくても飛ばせるが、ヘリは調整の仕方を知らなければ飛ばしやすい機体にならないので自分の機体のこの部分をじっくり眺めて仕組みを理解してもらいたい。スタビライザーが重いほど(遠心力が強いほど)ヘリは安定し、スタビの羽根がでかいほど舵を切った時の癖の補正が強いことがわかるだろう。またスタビの回りのリンクは頼りないくらいすかすかに動くくらいでなければスタビの役目を果たせないことも理解できるだろう。サーボのリンクが多少堅くてもサーボの力で動けば何とかなるがスタビのリンクが固ければ補正があるところまで働かずに急に効くようになるので滅茶苦茶飛ばしにくくなる。初心者はぜひ確認すること。
固定ピッチ機のスタビライザー
なお固定ピッチのトイヘリではヒロボーの特許であるスタビを90度でなく45度ずらして取り付けたものを採用したものが多い。この仕組みはローターのピッチは固定で片方を上げれば反対側は同じだけ下がるようになっている。ヒロボーの特許を見てもなぜ45度にしたかは実験の結果とあるだけで良くある特許の資料と同じで学問的には感心しないが、仕組みを追って行くと、スタビライザーの回転面にローターの回転面を平行に持って行くように力が働く。45度にしているのは、ジャイロ効果の連鎖であるクロスカップリングの影響に対してでしょうか?
屋内用のローターの軽い機種に良いということです。

Img_2382

写真のナインイーグルのSolomaxxという機体では、ベル式オンリーでスタビが水平に回っているときは安定して良いが、舵を切ってもスタビが利きすぎてとろとろしか動かず、あるところで急にグワンという感じで効くのでそれを戻すのに大きく舵を切らなければならないというじゃじゃ馬馴らしで大変だった。
JRのmSRなどを見るとはリンクの構成が違うようで、ヒラー式を取り入れているようだが、どちらにしろ重いスタビが付いているので舵は相当引っ張られそうで機敏な動きは難しいと思う。

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コメント

スタビライザーのパドルの目的は2つありますね。
錘としてのベルの機能はさておいて、面積のあるパドルの目的は
「ローター面に対しての横風であおられるのを防止」するのが目的です。
スタビレスのヘリを水平飛行させるとわかりますが、だんだん右?いや左だったかな?に傾いてきます。
真っ直ぐ飛ばないで旋回を始めるのですが、これを防止するのが、スタビライザーの役割になります。
結局、当て舵を機械的な仕組みで自動的に打ってくれている、ということになります。
ちなみに、スタビは、必ず0-0の角度で取り付けますが、コレが狂っていると、横風に対して正しく当て舵を打ってくれなくなり、かえってあおられるようになります。
最近は3軸ジャイロでスタビレスヘリがまっすぐ飛びますが、これは、ジャイロが回転角速度を感知して自動的に「当て舵」を打っていることをしているわけですね。

トイラジの45度の傾きは???
多分、飛ばして調整したら45度がちょうど具合がよかった、ということだと思っています(笑)
なぜなんですかね?

Alignのスタビの仕組みを追っていくと、錘が外乱に対する安定で、羽根の方は舵を切ったときのピッチをしっかり変えるようになっています。静安定性を高めると操縦性が落ちるのをジャイロスコピックの90度の位相差を利用してどちらも両立させるという見事なからくりだと思います。
スタビのないヘリを飛ばすと傾くのはどこにも静安定を出すようなフィードバックが無いためで、大きい機体なら動的に不安定でも人間がフィードバックを与えれば間に合う時定数でも模型の大きさではでは神技が必要なレベルになるのでしょう。
まあでも前進しているときは、手を離すと墜落するけど、まああなたでも大丈夫操縦できるよと言われてるので、小さな翼かコーニングかなんかを利用して多少は安定性がでているのかもしれませんけど。

3軸ジャイロなしで(テールジャイロありで)スタビレスヘリ(3ローター)は飛行させた経験はあります。
当時は3軸ジャイロなんてありませんでしたからね。
当然、専用飛行場で充分に安全を確認して、無理をしない範囲で実施しました。
心配するほど不安定な感覚はなく、とても安定してホバリングしますよ。
スタビヘリと変わらない感覚です。
あと、ものすごく浮きがよく、ローターががっちりと空気を捕らえている感覚があります。
ただし、晴天微風時のフライトであり、風が吹くと、こうはいきませんね。
上空を走らせると、舵が取られます。
結構、穏やかな感じでね。
ただ、やはり違和感はぬぐえないので、素直に着陸させて飛行を終了しました。
このことからも、スタビは横風対策の装置であることを実感しました。

3ローターはスタビ無しでも飛ばせる(うまい人ならば)という話は聞いたことがありますが、私には、2.4GHzで無いという時点で、鼻っから空恐ろしい話です。
2ローターと比べてモーメントのイナーシャが大きいので、積極的に外乱に対してのフィードバックは無くても機敏な人なら飛ばせるのだと思ってました。長い棒なら正の安定性がなくても手のひらの上で立てることが出来るのと同じだと。
棒と違って機体はしっかり作らないと余計な外乱が入って風が吹いてなくても大変でしょうけど

>2.4GHzで無いという時点で、鼻っから空恐ろしい話です。
確かに、混信の恐れがほとんどない2.4GHzと従来の電波方式では、その意味での信頼性の違いはありますがね。
ただ、2.4GHzが登場以前の安全に飛行を取り組んできた従来の先輩の方々は、その言葉をどのように受け止めるでしょうか?
また、信頼性を確保するために必死に製品を世に出してきたRCメーカーは、どう受け止めるでしょうか?
少なくとも、私には絶対に言えない表現なことは確かです。
「専用飛行場で充分に安全を確認して、無理をしない範囲で実施しました」とのことで、ご理解願います。

とりあえず、3軸ジャイロをOFFにして3ローターヘリを飛ばすとどうなるのか?
について、ご意見をいただけると幸いです。

いえいえ、2.4GHz以前の電波を使用していた人を尊敬しての言葉です。誤解させるような書き方で申し訳ありません
自分には、それを使いこなす能力など無いという単純な感想です。
楽な2.4GHzしか使っていない(あ、昔バギーと戦車を長いアンテナのプロポで動かしたことはありますが空物とは必要な緊張感が違います)自分としては先達の苦労には頭が下がります。

3軸ジャイロ無しの3ローターに関してはT-reX500のUH-60の着ぐるみを付けて4ローターのジャイロ付きで飛ばしたことくらいしか参考になる実績がありませんが、2ローターよりは安定性が増したように思いましたが違いを見分けられる腕ではありませんので確かなことではないです。
慣性モーメントはジャイロ効果にも関係する運動量ですので、単純に大きくなればそれだけ角速度を変化させるのに必要な力が大きくなるという、多分Uコン復活さんもご存じのことぐらいしか思いつきません。
実際に同じ揚力を出すには他にも考慮しなければいけないことがあるので単純に枚数で慣性モーメントの大小が決まりませんが、少なくとも私のUH-60は、ブレードの幅が細くなっているので、慣性モーメントが半径の二乗で効いてくることを考えなくても慣性モーメントは大きくなっているはずです。
実際のローターはフラッピングだの、ドラッギングだの、フェザリングだのとややこしいことが起きているので、そんな複雑なことを把握するのは困難です。
ただ単純に説明できる場合、ややこしい説明より的を射ている場合が多いということを信じているだけです

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