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2013年11月12日 (火)

ラジコン飛行機の力学 その3 墜落への道 前篇

先週は仕事で半ばボランティアのようなことをやったので飛ばせなかった(といっても昼休みにエルフを飛ばしたけど)。
さて今週は、空に浮かぶものはみな落ちる などと生臭坊主の悟りのようなことを言わずに今回は墜落のことをまじめに考えてみよう。
ラジコン飛行機の場合、墜落のダメージが本物ほど深刻ではないとはいえ、他人の墜落はいざ知らずとも自分の機体の墜落は避けたいはずである。
幸い(?)河原のRC飛行場は、こと墜落に関しては、実例に困らないのである。
墜落の要因を大きく分けると
1.機体などのハードウェアの問題。(整備ミス、故障など)
2.操作の問題(技量、知識不足などによる操縦者の操作ミス)
3.外的要因(突風、トンビに襲われた、カラスの呪いを受けたなど)
外的要因のラジコン飛行機にトンビがちょっかいを出すところは何回か見ているが、これで墜落したのはまだ見ていない。空中衝突は、たまに目撃する。6機くらいが追い掛けっこをしていれば、空中でぶつかる事故が起きても当然である。カラスを追いかけまわした後、立て続けに4回墜落したケースではカラスの呪いと言われている。梱包材で出来ている滅茶苦茶飛ばし易い機体なので、まあ、なんかの呪いだというのはわかる気がするが、空中衝突も含めて、外的要因というよりは本人たちの性格の問題だという意見にも一理ある。
突風による墜落もどこまで本人の操縦ミスかという問題はあるが、飛行場の中を竜巻が渦を巻いて通り過ぎるような時はさすがに操縦ミスや、飛ばすときを間違えたとは言いにくい。
外的要因に関してはこれ以上は言及しない。まあ、外的要因を受けにくい環境を作るか、お祓いでもすれば良い。
墜落で圧倒的に多いのは、機体の問題と操縦の問題である。
機体の問題で飛ばしている途中でおかしくなったように見える場合もあるが、基本的には整備不良である。ラジコンなので送信機側の問題の場合もある。
そもそも飛ぶようになっていない状態で飛ばしている場合が結構多い。
今回はまず機体の問題を列挙しよう
  1. .送受信機のトラブル
    まあ怪しげな受信機の場合は当然としても、ちゃんとしたメーカー品でも、送受信機のトラブルはある。
    送信機には出力を下げてテストする機能が付いているものが多いと思うので、少なくとも一度はそれで確認すべきである。
    怪しげなメーカーの送受信機はトラブルがあっても良い覚悟で使った方が良い。
    2.4GHzでない、昔のFMやAMのセットも混信の危険性が高いので使うべきではない。もっとも今時、そんなものを使っているラジコンファンはいないので、昔よりは却って混信のリスクが小さいとは思うが、昔のセットはまだまだ残っているだろう。そういうのを持っている人に限ってこっそり使うことも考えられるので、安心はできない。

  2. アンテナの不良
    アンテナは、2.4GHzでは短くてセットが楽であるが、電気や磁気を通すケースの中に入れてはいけない。カーボンも電気を通すのでカーボンの素材からは充分離しておかなければいけない。
    また無理に引っ張ると断線しかかったりするので日頃から無理な力が掛からないように注意したい。

  3. サーボの動作方向
    右に切ると機体は左に行き、スロットルを上げると停止するような、笑いの種になる基本的な設定ミスだが、実際笑ってごまかさなければいけないような目にあう人が後を絶たない。設定の初めに必ず確認すること。プロペラを付けていなければスロットルの設定が逆でも落ち着いて停止させることが出来る。なかでもエルロンは逆に設定しても気付かない場合が多い。

  4. サーボの動作
    サーボもショックなどで動作不良を起こす場合がある。また温度ドリフトなどでセンターが狂う場合もある。デジタルサーボといってもサーボ位置の取得はちっともデジタルでないものが多いので毎回飛ぶ前に一通りサーボの動作をチェックした方が良い。
    主翼を分解式するときにリンケージを外さなければならない、機体も結構あるが、動作チェックをすればリンケージミスを発見できる。

  5. サーボの舵角
    サーボの舵角が大き過ぎて飛ばない場合も結構ある。特にエルロンやエレベーターの舵角が大き過ぎると操縦がむずかしくなる。
    エレベーターは、地上滑走用でわざとアップ側を大きくする方法もあるが、その場合はエクスポを効かせて中央付近のストロークを多めに取った方が操縦が楽である。
    実機のように舵は多めでエクスポも手で微妙にコントロールするから掛けないという人もいるが、全くの誤解である。
    本物は舵を大きく動かそうとすると抵抗が大きくなる。舵がすこすこ動くような機体では、空中分解しやすいため、そんな危ない機体が飛び続けられるわけがない。模型では舵が重くなるわけではないのでエクスポを掛けて飛ばしやすくするのである。
    なお、引込脚に普通のサーボを使用している場合は、サーボの動作角に注意をする必要がある。引込脚のロッドが限度一杯になっているのにサーボのリミットまで行っていない場合は、サーボに電流が流れ続け、アンプの電流に余裕がない場合は、アンプが焼損する。
    これはどのサーボでも同じだが、特に引込脚では注意が必要である。

  6. ミキシングの不具合
    エルロンを切った場合、揚力が不足するのでエレベーターにミキシングを掛けたり、ラダーにミキシングを掛けてきれいな旋回を行うときや、フラップを掛けた時に機体が上昇しようとするのを抑えるためエレベーターにダウンをミキシングするなど、結構ミキシングの使いどころはあるが、ミキシングも注意しないととんでもないことになる。
    たとえば旋回の時のエレベーターやラダーへのミキシングでは背面では逆になる。
    まあこんな程度なら自分でもちょっと考えればわかるので、そんなややっこしいミキシングなんか掛けないが、グライダーは着陸の時は両エルロンを上に跳ね上げるとブレーキが掛かって着陸させやすくなる。グライダーは滑空性能が高いのでこれがあると狙った所へ降ろし易くなる。
    また一般的にエルロンで機体を傾けて旋回するときに上がった方のエルロンは下に下がるが、上に上がった時よりも抵抗が高くなり易い。そうでなくても、抵抗は発生するので、折角機体が曲がろうとしても、その邪魔をすることになる。従って、デファレンシャルといって下向きのエルロンの効きを小さくするミキシングが2個のサーボでエルロンを動かす機体では使われる。
    エルロンのサーボが一個の時でも二個のときでもは、サーボホーンが円運動することを利用してホーンを中心をずらして下側に動くときは円運動に近い方で働くようにホーンへの取付位置とリンケージの長さを調節すれば同じ事が出来る。サーボが一個の時はホーンの穴位置をよく考えれば良い。
    しかし、2エルロンサーボの場合は、面倒なことをしなくてもプロポのディファレンシャルの設定で簡単にできる。
    なお、エルロンのブレーキも使っているときは注意が必要である。
    エルロンブレーキでリミット一杯まで跳ね上げた状態では、エルロンは上側にはもう動かない。(仮に動いても角度が大きくなっていると抵抗値は大して変わらない)
    一方、ディファレンシャルで下側の動きを制限し過ぎると結局ブレーキを目一杯掛けた状態ではエルロンは上側に動かないか動いてもほとんど効果かなく結局エルロンが効かなくなってします。
    久しぶりにモーターグライダーの設定をいじって旋回時の余分なロスを防ごうとディファレンシャルの設定を深く考えもせずに強くしたトホホものは、飛んでいるときに突然エルロンが全然効かなくなっているのに気付いた(ブレーキはスロットを下げると働くようにしているので飛んでいるときに速度を落とそうとすると無意識にブレーキが入るようになっている)。
    あわてて着陸させようとフルブレーキを維持するので当然エルロンの効きが戻るわけがない。ラダーを使って旋回させ(ラダーでも効きはともかく普通は多少は旋回できる)人のいる滑走路は危険なので何とか畑に不時着出来たから良かったが、わかってみれば当前のことである。ミキシングはよくよく考えて設定しよう。
    まあ、飛行中の全ての動作くらいは設定を変えたらチェックした方が良い。(モーターは切って)

  7. プロポのスイッチの設定
    最近のプロポはスイッチがやたらと付いているのがある。
    昔のオーディオ機器のようにスイッチがたくさんあると何やら高級そうな気がする。
    しかし、実際には、たくさんのスイッチを使いこなすのは大変である。たくさんあり過ぎるおかげで間違って操作する場合も起き得る。
    従って使わないスイッチには間違って操作しても何も起こらないようにしておくべきである。
    また飛ばす前は全てのスイッチがデフォルトの位置にあることを確認すべきで、スイッチの役割は機体によっても統一することが望ましい。
    スイッチの位置を確認しなかったため、あの滅茶苦茶飛ばし易いコンポ号を少なくとも二回墜落させている。一回は、エルロンがものすごく良く動くアクロバットモードになっているのに気付かず、勢いよく離陸して勢いよくターンして地面へ激突。
    またエルロンにブレーキが入っているのに気がつかずに上昇出来ず、こちらに戻そうとターンさせて失速で墜落。
    脚を引っ込めようとしてフラップを出したりとかは、ありそうなので注意しているが、もっと肝心な注意を忘れるところがトホホ者である。

  8. プロペラの固定
    プロペラの固定が不十分でプロペラだけ飛んでいく、笑いを取れるパターンも良くある。幸い飛んでいる途中よりも離陸の時に外れるのが多いので笑いごとですむ場合が多いが飛んでるときに起こらないとは限らないだろう。
    外れたわけじゃないが、プロペラと本体のFRP製のカウリングが擦れて飛んでいるうちに摩擦熱でプロペラが溶けて変形して墜落したことはある。
    これは笑いごとじゃないが、笑われたぞ。どんなもんだ。えへん

  9. 主翼のねじれ
    飛行機はラダーが吹っ飛んでも、片方の水平尾翼が吹っ飛んでも結構平気で飛ぶことが出来るが、主翼が少しねじれているだけでも全然まっすぐ飛ばないというデリケートな面もある。特に翼端のねじれは影響が大きく、一見それほどとは見えなくてもエルロンのトリムを一杯に効かせてなおかつエルロンを切ってようやくまっすぐ飛ぶということもあった(自分じゃないけど)。この場合は素直に速く降ろして翼のねじれを何とか直すべきである。火であぶるかしてバルサ製の機体は直るらしい。
    梱包材製は重しかカーボンロッドでちゃちゃっと直したことがある。もっとも多少のねじらを気にする機体ではないけれど

  10. 重心の位置
    重心の位置は基本中の基本である。一般に重心は主翼の前側にあった方が縦の安定性が良く、重心が揚力の中心より後ろではたちどころに墜落することから考えると前過ぎの方がまだいい。
    ただし、前過ぎだと水平尾翼で大きな下向きの力を出さなくてはいけなくなるので揚力の点で不利となり、操縦性も悪くなる。
    揚力の中心は普通の翼型(非対称翼)では迎角が大きくなるにつれ前方に移動するので、速度が出ているときはよくても速度が落ち釣合のために迎角が大きくしなければならなくなったときにとコントロール出来なくなる場合もあるのでその分も見込んでおかないと低速でコントロールが難しくなる。

  11. バッテリーの充電不良
    十分充電出来ていないバッテリーで間違って飛ばしてしまうことは結構ある。ほんとうにつまらないことだが、飛ばしてすぐ何気なく着陸させたふりをしたあなたももちろんこれだ。

  12. アンプの過熱
    アンプは、受信機やサーボ用の5V前後の電源(BEC)を内蔵している場合が多いが、その場合はモーターとは別に5V系の電源の発熱も問題になる。
    電子部品は一般に耐えられる最高温度が決まっていて、この温度に達すると壊れたり出力がでなくなる。
    気温が高くても放熱が悪くても早く限界に到達する。
    5V系の電源の作り方には主に2種類あってひとつは、シリーズ型のレギュレーターを使って高い電圧から希望の電圧に落とす方法で、加わる電圧と必要な電圧の差は、熱となって捨てられる。電流が大きいほど発熱が大きいのは当然だが、加わる電圧の差が大きいほど発熱も増えることに注意が必要である。モーターのパワーを上げようと充電池のセル数を上げると5V系の発熱がぐんと増える。
    使用する部品が3端子レギュレーターのなどの簡単で安価なICですむ割に安定度の高い高品質の電源が得られるので良く使われるが熱は充分に注意が必要である。

    もうひとつの方法はスイッチング型のレギュレータの回路を組むことで、レギュレーター用のICの他にそれなりのコイルやコンデンサが必要になり、価格も高めになるが効率ははるかに良いので出力に余裕を持たせやすい。高周波でスイッチングして電圧を希望の電圧にするため、高周波ノイズが乗り易い。しかし、2.4GHzとは周波数が何ケタも異なるため、余程いい加減な受信機でない限り問題になることはまず無いだろう。効率は80%以上のものも珍しくなく、また対応する電圧範囲も広いものが多い。
    従って、受信機とサーボの電流が大きい場合はいくらモーターの電流に余裕があってもBECの方で温度が上がり過ぎる可能性が出てくるのでスイッチング式のBECの方が安心である。逆にBECにいくら余裕があってもモーターの方に余裕がなければ同じことである。
    レギュレーター用のICの中には、温度を感知して、危ない温度になると自動的に出力を下げて温度が下がるのを待つものも多い。もっとも受信機はその間正常に働かないので、墜落を防ぐ役にはあまり経たないかもしれない。

    アンプは、風が当たって冷えることを前提にして容量を表示している場合が多いと思う。従って普通は風の通り道を作ってその中にアンプを置く。しかし夏の暑い日には、空気も軽く(実機では夏と冬では搭載可能重量にかなり差が出る)気温も高いのでアンプにとっては何重にも厳しい条件である。
    また穴を空けただけで空気の通り道が無いのに満足している人もいる。空気が流れなければ穴があってもなくても同じで冷えない。
    アンプの部品の許容温度は100度を超えるものが多いと思うのでケースの表面でも50度程度は全然許容温度の場合が多い。80度を超えると注意が必要だとは思うが確かなところは物による。

    エンジンの場合も別の意味で冷却が必要である。スケール機でエンジンを完全に覆って作って満足している人もいたが当然、満足に飛行を終えることが出来なかった。

  13. 配線、コネクタ、イモ半田、パーツの固定
    モーターは何十アンペアも電気を食うが、この電流をなめてはいけない。家庭用の各部屋のブレーカーは15Aが多いし、市販の延長コードも許容電流が15Aのものが多い。電線による損失や発熱は電圧ではなく電流で決まり、ラジコン用のモーターは大電流食いなので、電線やコネクタはそれなりの大電流用のものが必要である。そうでないと折角のバッテリーの電力が電線やコネクタで失われてしまうし、最悪、発熱で発火や断線が起きる。
    飛ばした後の電線やコネクタが熱くなっていたら要注意である。特に一部だけ熱くなっている場合は、その部分の電気抵抗をすぐに下げる対策を講じるべきである。
    半田付けも結構不良が起きやすい。溶けた半田が相手の金属と十分なじんでいないと面で接合せずに数点で付いているようなもので、強度も弱く抵抗も大きく、使っているうちにどんどん悪化して最後は断線(稀に発火)する。
    そのほか、不適切な線材の引き回しやコネクタの結合により、飛んでいるときにコネクタなどが外れる事故も多い。
    中には、飛んでいる最中にバッテリーを落とすという、とんまなことも何回も目撃している。自分は半田付けは下手であるが、下手であるということをちゃんと自覚しているからか、奇跡的に、このとんまな事態とは無縁である。えへん。(今までは)
    もっともキャノピーを離陸直後に落としたことはあるけど。




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