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2016年10月

2016年10月28日 (金)

墜落と復活

事故調査

問題が発生した時はきちんと原因を調べて対策を練るというのが、再発防止に向けての基本的なスタンスである。
指先を爪だと言い張ったり、安易にバッテリーの所為にしたりと、いい加減な対応をすると、そのうちとんでもない災いを招く。

ラジコン飛行機の場合は、墜落しても他に被害が出ないような場所で飛ばしているぶんには、落ちても自分の「心と懐」が痛むだけなので、人も物も簡単に近づけないような河原空軍基地のような場所に腕前の怪しい人間を隔離しておくのは、ひょっとして世の中のためになっているかもしれない。
とはいえ、飛行機は本人の意思に関係なくどこまでも遠くへ行く場合もあるので、安全な範囲から出ないように飛ばす程度の腕は必要である。(-_-メ)

さて墜落の原因を腕の未熟さのせいだけにするようなスタンスは事故調査としては問題である。
したがって、まずは誰がへたくそなのかではなく、何が事故を引き起こしたかという観点から見る…などと、屁理屈つけながら今回の事故を振りかえるのである…  m(_ _)m

事案その1

(その1ということはその2もある)

Cimg8837

俗称EXTRA260改、正式名称SebArt 30Eである。
ホバリングも可能で通常の飛行時は、危険なほど舵を切ることもできるが、フライトモードスイッチで舵の利きを変えることができ、ホバリング用の位置に設定しても、原点付近は、エクスポネンシャルでゆっくりと動くように設定されている。
したがって仮にホバリングモードで高速で飛ばしても、トリムさえ合っていれば普通にコントロールすることが可能である。
また失速にも強く、仮に失速しても、機首をすぐに下げるので、そのまま落下させれば失速から勝手に回復する。翼端失速には翼端を下げない限りならない。
高翼機のように自動的にロールが水平にはなりにくいが、ロールの姿勢維持の能力が高いので、機体の姿勢さえ、覚えていたら、よほど下手を打たない限り、誰がこんなの落とすんだというくらい滅茶苦茶お利口さんの鉄板中の鉄板の機体である。


しかし、好事魔多しということわざの通り、それでも落ちるときは落ちるのである ^^;

順調に高度を下げ、まさに接地しようとするそのときに何気なく前方を見ると、墜落した機体を回収して来たのか滑走路のまん真ん中のすぐ直前に、拾って来た飛行機をのんびり抱えて幸せそうに歩いている人がいる!

げげっ

Cimg0958

飛ばしていた機体が、この写真のような室内でも飛ばせるヘロヘロ号ならば、くるりと避けるのも簡単だし、コラッと言いながら突っ込んでもモーターさえ止まっていれば、全備重量200g以下の機体なのでテレビのドツキ漫才より痛くなさそうだ(もっとも機体は壊れるかも)。


しかし、バルサと航空ベニア製で多少の風でも安定してきれいに飛ぶEXTRA260改は、軽くもないしモーターの取付部や主翼の前縁など結構頑丈で、まともにぶつかると痛いだけでは済まない。

幸い、墜落の数も、滑走路上の人を縫って走るというような経験も豊富で、おまけに普段からヘロヘロ号のような(屋内での)急反転を得意としてる機体を飛ばしているので、とっさに大きくロールを切ってエレベーターをアップする急反転を行い、単なる道路を横切る通行人と化していた初心者の目と鼻の先で右翼を下に翼端失速の形で墜落し、その衝撃で右翼がもぎ取られながら回転して機首から地面に激突しスピナーが飛び散った。

実は、飛ばしながらも目の端でこの初心者が畑に機体を落とすのを見ていて、速度がそれほど無かったので大して壊れていないよと声まで掛けていた。
したがってそれを取りに滑走路を横切って取りに行くのを知っていたし、無事だったのを喜んで、周りに注意もせずに滑走路に入ってくることも予想しなければいけなかった。

慣れていれば、明らかな着陸コースだとわかるので、高度を下げて周回コースを降りてくる飛行機を見れば滑走路内に立ち入らないだろうが、まだなぜ飛ぶのかもわかっていない初心者である。
墜落したと思った飛行機が無事だたわかったら、うれしくて注意力が散漫になるのも当たり前である。

普段はもう少し早く滑走路の確認して、仮に急ぎ足で横切ってこようとその上を至近距離で飛び越すくらいの余裕はあるのだが、確認が遅れたのも事故の原因である。

結局、最近事故を起こしていないという慢心が不注意を招いたのだろう。

幸い見掛けが派手な墜落の割には修理しやすい壊れ方で機体は右翼の根元でカンザシと呼ばれるカーボン製の丸パイプを機体に固定している部品が、上手いこと外れたように折れている。そのためその他の部分には大きな衝撃が掛からなかったようで主翼の先端のは、ほぼ無傷である。胴体の長手方向の骨材のうちの下側のものが一カ所が折れている。あまり強度に関係なさそうな部分で、ひょっとするとこれ以前に移動中に強く持ち過ぎて折れていたかもしれない。
さらに主翼をカンザシに挿して胴体に当てる部分の平らな板も一部も折れているがここも折れた面が上手いこと斜めに折れていて接着面積が広く取れるので、折れる前より丈夫になりそうである。

機首のプロペラのスピナーは粉々になったが、プロペラやモーター自体は無事であった。
モーターマウントの板にひびが入ってグラグラしているが、ここは以前、引っくり返ったか何かしたときにマウント板が割れたのをエポキシ接着剤とカーボン繊維で外観はぐちゃぐちゃながらもしっかり補強して、その補強をあまりしていない反対側にひびが入っていた。
ここは前の修理のときに固定の位置が悪くて、モーターのスラスト(プロペラの反動を補償するために少し斜めに取り付ける)が強くなってしまったが、今回は、これもワッシャをシム代わりの厚み調整に使って直そう。

プロペラやモーターの軸などが無事だったのは、速度が低いのと数々の墜落の経験から激突の瞬間はモーターのパワーを切るというのが実行できているようである。

だれも怪我をせず、修理も難しくなさそうなのが幸いである。

教訓その1

  • 着陸するときは、声を掛けて注意を促す。(余裕があれば)滑走路付近の状況をできるだけ把握しておく。
  • 特に初心者がいる場合は、思わぬ行動をする場合があるので飛んでる機体に注意をしてもらう

修理

胴体や主翼などの修理は接着面積が広いので、瞬間接着剤を十分染み込ませただけである。
モーターマウントは、以前修理した時に左側ががっちり付いていて取り外すのが厄介だったので、割れたところを接着剤で固め、斜めになっているのは、モーターを固定するときにワッシャをシム代わりにモーターの向きを調節して本来のスラスト角度と思われる状態にした。
実際にプロペラを付けて回して見ると、一度共振により大きく振動する。その後は目立った共振は無いので、高調波は無視して良いだろう。
ただし、飛行中の降下時にスロットルを完全に下げる場合もあるのでテスト飛行は中止して再修理した。

振動は力の加わり方の時定数の問題である。
この場合は、モーターの回転によるバランスのズレが周期的に加わって、構造体の剛性によりばねのように決まる共振周波数と回転が一致すると、振幅がどんどん大きくなって壊れたりする。
プロペラを含めた回転体のブレを減らしても改善するが、このような低い周波数の共振の場合は剛性を上げれば簡単に直る場合が多い。
スマホやタブレットで「スペクトルアナライザー」で検索すればたくさん見つかる音声のスペクトル表示ソフトで共振周波数を測定することができる。
もっとも今回のは、そんなものを使うほど微妙な問題ではない。
取付板が柔に付いていたので、エポキシ接着剤でしっかりフレームに固定し、ついでにカーボン繊維を編んだシートを張り付けて強度と剛性をアップさせようと考えたが、自分の腕では汚くなるだけなので諦めた。
カーボンシートを張り付けてエポキシで固めれば、機体が粉々に砕け、モーターの軸が曲がったり折れたりしてもモーターマウント部自体は何ともないということになるだろうが、そうなってもあまり意味がない。
飛行機の場合、行き過ぎた強度は、デメリットを考慮しなければならない。
昔、零戦の翼の設計をしていた大学の講師から流体力学か何かの授業で、強度試験の時は想定した力までは折れるなと祈り、それを過ぎると速く折れろと祈り続けたと話していたのを思い出した。

結局カーボンは繊維を何本か貼り付けるという大して役に立つとは思えない程度で妥協。

Cimg1264

スピナーは、バラバラのものを寄せ集めて瞬間で接着したが、最初の回転試験の振動であっけなく吹っ飛んだ。
ネジ止めしている相手がボスでその根元が弱点になる。
これは、共振が収まっても交換した方が良さそうである。
飛んでる途中で部品を撒き散らすのは下品である。


事案2

さて悪いことはなぜか続くもので、この日は2回目の墜落をしてしまった。
しかも、この日の2回目の墜落は、久々の深刻な墜落である。

Photo

機体は、FPVの装備を降ろして身軽になった、E-Filite Slick3D 480。自分のところでの呼称はチビデブ君という素直な良い機体である。
これも、こんな飛ばし易い機体を落とすような奴はどんな奴だ、と思うくらいの素直な良い機体だが、やはり能天気な考えはいつかは崩れるのである…


状況

この機体は手持ちの機体の中で、先に墜落した30Eの次くらいに鉄板の機体である。
これは30Eと違い組み立てたまま車に乗るので、組むときにねじを締め忘れるとか、サーボを繋ぎ忘れるとかいう失敗の心配をしなくていい感心な機体である。
これを最後に立て続けに飛ばして暗雲を吹き飛ばしてスカッとした日曜日で終わらせようと、この機体に使えるバッテリー3本を抜き出し、まずは、その中で一番能力の低いバッテリーを装填して小手調べにエルロンやラダーのトリムなどの設定の確認を兼ねて飛ばした。
FPV用のどんくさいセッティングから、この機体本来の舵の利きに設定し直したチビデブ君は軽快に空を駆け周った。
そろそろ着陸しようと、最後の180度旋回へ向かう直線コースで、滑走路上とその周辺に怪しげな人や物がないか入念にチェックし、進入路の外れの上空にPhantom3が浮かんでいるが、それも着陸コースからは十分に距離があり、操縦者は、こちらの侵入を承知しているのを確認して最後のコースに入るべく機体に視線を戻した。

げげげ、なんとチビデブ君は頭を下げて墜落へ一直線の途中である!!

既に高度が可なる失っており、このままでは、旋回させて畑の上を戻す前の畑の畑の先のジャングルと化した土手道の斜面に激突しそうなので、せめて土手道を超えたイムジン側への土手の斜面に緩い角度で墜落させようと(昔、それで機体がほぼ無傷だったことがある)、何とか降下速度を落とそうと機体の向きとエレベーターとスロットルを操作した。
むろん、実際には、こういった判断は、過去の幾多の墜落の経験から、ほぼ無意識のうちに反射的に行われる。
人間の神経細胞の遅い伝達能力では、いくら優秀な並列処理であっても高度な判断をこの短い時間で行うのは不可能だろう。過去の学習から、まず反射的に処理し、その後あと付けで行った処理を再構成するという話しを何かで聞いたことがあるが、あるがその通りだろう。
再構成することでさらなる学習が行われるのである。

どこまで正確かは怪しいがこれをかみ砕いて表わすとたとえば次のようになる。

  1. げげ、墜落している
  2. あ、このままでは地面に激突かも
  3. 取敢えず、川に向かって激突を避けよう
  4. 上手く行けば、斜面に軟着陸するかも

せいぜいこのような低次元の反応と操作のはずである。
これでも幾多の墜落を経験しているのでここまでの操作ができるのだろう。

さて、この程度の単純な思考だからこそ指先が反応し、チビデブ君は土手の手前に激突することなく土手からイムジン河の斜面に掛けて生い茂る背の高い草を超え、そのジャングルが形作る稜線の下に消えて行ったのである。
人間は、いざというときは、短時間に驚くほど色々なことを考えるというが、実際には単純な反射で複雑な考えは同時処理的に作られた後処理の結果だという説は正しいだろう。
神経細胞という電子からすれば驚くほど遅い情報処理装置で複雑なことを処理するには、恐ろしいほど効果的なシステムである。

実験によれば、いざというときの記憶は明らかに間違っていて、再構成によっての表面上の合理化がされている場合が多く見られるらしい。

墜落させた本人の証言と遠く離れたところから機体が見つかることは珍しいことではない。

ま、細かいとこはともかくも、こういうときのためにサマーセールの安いときに買ったPhantom4である(あれ、やっぱり今も安いままである)。
前のPhantom2+Goproでは、リアルタイムでの画像の送信には混信という大きな問題があり、飛行時間も短い。
Phantom4ならいい加減な記憶でも広い範囲を捜索できる。
幸い、Phantom3を飛ばしていた人生の大ベテランのO氏も目撃者である。

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Phantom4s are GO!

昔はファントムと言えばこの機体である。
(すいません、今回とは関係ない日本ではいまだに現役のファントムでした)


まずはイムジン河の土手の捜索である。Pantom4を河の上空に置き、安全を確認してから両方の土手の高さくらいに高度を下げ、土手を向いて真横に移動しながら土手の上から川までの範囲を撮影しながら捜索した。
草に埋もれていても、角度を変えれば見える場合が多い。
2回探しても見つからないので、反対側の土手を探した。
O氏は、土手じゃないと思うというので、念のため土手の手前側を探し、いや向こうだというので対岸の土手をなめるように探しても見つからない。
対岸は土手の上は木が生えたりして複雑な地形で探すのが困難である。
そこで距離を離して少し広い範囲を探そうとしたが、途中でバッテリーの残量が少なくなり、いったん捜索中断。

もうひとつのバッテリーは少し飛ばしていたので残量が半分ちょっとしかないが、飛行機がたどったと思われるコースを土手の手前から向こうへかけて、何往復か撮影した。
ラジコンの場合距離感は全く当てにならず、大きくずれている場合が多いが、O氏の見立てと合わせると三角測量の要領で大きく墜落場所が狂うとは思えない。
ひょっとすると、機体が川を超えたのかもしれない。
O氏は、人生の大ベテランで優秀な職人でもあるので、口で説明するのはちょっと苦手で、一緒に捜しに行こうと言ってくれるが、こちらはサンダル履きで捜索向きの格好ではないし、この深い草では1m横でも気がつかないので、場所の見当が付いていないといたづらな徒労に終わる可能性が高い。
そこで捜索を諦め、家で画像を分析して場所を特定することにした。
パソコンのきれいな画面でコマ送りに調べることで発見した例はたくさんある。

何の因果か、満ち足りた日曜日で終わるはずが、家のPCの画面でコマ送りでビデオを見るという、かみさんに説明を要する怪しい事態になってしまったが、何度見ても土手の両岸には痕跡すら写っていない。
幸い川の流れの中に落ちて良い無いのははっきりわかるので、見当違いの場所で救助を待っているのである。
つぎに土手の手前をひとコマずつ見たが、やはりそれらしいものはない。
次に、川の向こう側であるが、そちらは地形が複雑で木も伸びていて空撮で探しにくい嫌な場所である。
こちらもひとコマずつ見て行ったがすると端っこの方に怪しいものが写っている。

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イムジン河からなんと30m以上奥に機体らしきものの影がある(写真をクリックすると拡大する)。
反対側からも小さくではあるが写っているのを見つけ、墜落したチビデブ君であることを確信した。


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この写真は、墜落する数週間前の写真だがこの右端が墜落場所で左端が飛行場である。
どうやって墜落場所まで辿りつくか検討した。
なにしろ、暑い季節では行き倒れになってもおかしくない人を拒む場所である。
河原空軍基地には鉄製の架設用の板があり飛行場のすぐ横が架設し易くなっているが、墜落場所まで遠すぎるし、その近くに架設するのに一人では危険である。
そこで向こうの土手の真ん中あたり写っている、土手を降りる斜路を車で降り、下に着いたらそこから先は土手沿いに歩いて森の横の少し広くなっている耕作地に出て残りの道は植木ばさみで切り開くことにした。
翌日はお昼頃から雨の予報だが朝早くから行けば良いだろう。



捜索当日

しかし、現場について見ると土手の向うの畑に行く斜面の道路が草で覆われて視界が全く利かず車で上がるのは不可能である。
やむなく徒歩で一歩一歩確かめながら土手まで登ったが今度は下りの道への入口がわからない。
Google Mapを航空写真モードで開きタブレットの位置情報を頼りにようやく下りの入口を探し一歩一歩確かめながら土手を降りた。
降りると耕作地行く道だったのだろう草が低くなり視界が開けた。

耕作地まで来ると、そこは放棄され荒れ果てており、その先はジャングル状態となり、おまけにそこらじゅうで野バラが牙を剥く。

長靴は持っていたが、植木ハサミをうっかりと忘れて来たので、取りに戻るかホームセンターが空くのを待つことを考えたが、ラッシュ時に重なるしホームセンターは10時からのようで、時間が勿体ない。
それで、ひたすら草を少しずつ踏んづけて道を切り開いていった。
チビデブ君が救助を待っているのがはっきりしていなかったらだれもこんなとこに来ないだろう。
鳥撃ちの鉄砲撃ちもここに入らないわけである。
もっとも某河原空軍基地の捜索のベテラン達は、慣れたものでひょいひょいと入って行けるようである。しかし、ここにはその痕跡を探したが、全く見つからない。結構広いのである。

Google MapとGPSのデータを頼りにひたすら踏みつけて道を切り開いた。
脚は上がらないが、体重なら十分ある。この体重に何度も逆らえる草やイバラは無い。
>
ひたすら草を踏みつけて一時間、ようやく墜落した当たりのなぜか草の丈の低い地域に出た。

Cimg1083

チビデブ君は異様に軽いのが利点だが、その分強度は弱めである。
どういう風に飛んで来てここまで来て墜落したのかはわからないが胴体が粉々になっている。
主翼も大きく壊れているが、意外と原形を保っている。主翼は機体を支えるため骨の部分は結構しっかりした構造なのだろう。
持って帰る間に機体は野バラのとげだらけになりズボンも戻った時にはボロ雑巾のようずたずたになっていた。


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バラバラの部品を丁寧に拾い集めてゴミも取り除いて、さあ、これを飛べる状態まで修理しなければならない ^^;


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修復完了!
根性が無いもんで、もっとも簡単な方法で直した。
RCデポに在庫を確認して千葉県の野田まで行って来たのである。
ここは、機体のストックが驚くほどある大きな店だが、やはり、チビデブ君に勝る機体はない。
何んならもう1機予備に買おうかと思ったが、それは、墜落を招き寄せる危険な行為だと気付いて止めた。


教訓その2

  • 機体から目を離す時間は最小に
  • 弱いバッテリーでは、スロットルが同じでも急速にパワーが無くなる。
  • 墜落したら機体の落ちた方向をしっかりと確認すること。
  • 墜落時の記憶などあまりあてにしないこと

なぜ、こんなに墜落地点がずれたのかは不明である。
最初に墜落しかかっているのに気が付いたときには、距離を間違えたとしても、ここよりも遥かに手前のジャングル化している土手道の手前であったのは間違いないだろう。
発見時の機体の向きと部品の散らばり方からすると、機体は川の上流側(向こう側)から墜落場所に突っ込んでいるようである。
ひょっとすると思っていたより遠くにいた機体が、視界を遮っている草の稜線の下で姿勢を持ち直すなどして川を超えたのかもしれない??

O氏の説明もそのようなことを言っているようにも聞こえる(何しろ人生の大ベテランなので正確に聞き取るのは若造?ではむずかしい)

この事故の場合は、バッテリーの残量アラームと、失速のアラームがあると致命的になる前に気付きやすくなり回避できる役に立つかもそれない。

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そこで、大気速度計を買った。
プロポが会社自体の行く末が問題になっているJR製なので、無くならないうちにバッテリーの電圧計も買った。
実は既に2個持っているのだが、一時的に具合が悪くて外していたのである。
買ったのはそれまでの動力モニターでなく単なる電圧系の方だが、どうせ電圧でしか把握できないので単純な方で良いだろう。


JR大気速度計

FPV用のVectorの対気速度計は十分正確だった。
Vectorのは、静圧用にピトー管の側面に穴が空いていて2本のチューブでセンサーまで引張って行くタイプだがJRのピトー管はただのパイプで静圧は圧力センサーが付いている基盤の方で測る。
したがって基盤の置く場所が正しく静圧になっているかが重要である。
大気速度計は、前方からの風圧(動圧)とその場所の大気圧(静圧)との差で風速を測る方法である。
温度等によって大気の密度が変わる影響を受けるが、それよりも静圧の測り方が重要である。
Vectorのは大気の中で流れに直角に空けた4カ所の穴で静圧を測っているためか、GPSのデータと比べて風速がある程度分かるほど正確であったが、JRのは飛んできた後で13m/sとか表示されて全く信用できない。
JRのセンサー部は胴体に転がしているがチビデブ君の胴体は、カウリングに空気取り入れ口が空いているが、その風の出口がない。
うーむ、これでは入った空気が逃げなくて内圧となっても無理はない。
測定方法を考えなくては。
しかし、基本的な疑問がある。
フタバの高度計など、音声で読み上げてくれるが、JRのにはそうい機能はなさそうである。
まず、飛行中の速度をどうやって知るか良く考えないと、今度はよそ見で機体が墜落することになる。
JRは、ごたごたでこの先どうなるか不明で、聞くだけ無駄な気がする。
どうしよう?

2016年10月10日 (月)

飛行時の釣り合い ~Phantom4

飛行時の釣り合い  ~Phantom4

Photo

マルチコプターもヘリと同じでプロペラ(ヘリの場合は、使い方がちょっと違うのでローターと呼ぶのが普通だが)の推力の向きを傾けることで、垂直方向の揚力と水平方向の推進力を分力として得ている。
もちろん、考える都合でひとつの力をふたつに分けているのであって、実際に風が縦横と複雑に流れる訳ではなく分かり易く考えるための方便である。線の長さは力の大きさである。
縦の分力と重力との差が、ヘリを上昇下降させる力となり、水平方向の分力は、ヘリを水平に押す加速度になる。
空を飛ぶものを操縦しようと思ったらこういったことは当然のように思えなければいけない。


ま、よく出てくる基本的な説明だが、もちろんこれだけでは、ヘリはクルクル回って落ちるだけである

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機体がくるくる回転したくなければ、機体に働く力のモーメントが釣り合うように=0になるようにしなければならない。
機体に働く力が重力の他にローターの力だけななら、この力がヘリの重心を通るように働かなければならない。
地べたに縛り付けられている我々は、普段から力を入れた分だけ反作用として地べたから返ってくることにあまりにも慣れているので、空に浮かんでいると、そんな便利なものは働かないので自分自身で釣り合いをとらなければならないことを忘れがちである。
空の上では、こうした地面の反力の経験は全く役に立たない。

ローターの推力が重心を通るようにするのは微妙な調整だが、どの道、推力の向きを変える仕組みを持っていなければ、人が乗る航空機はもちろんラジコンだって危険極まりないものになるので、多少のずれは、この仕組みで調整することになる。
飛行機では、機体の空力的な形状自体が持っている安定性の上に、補助翼などの小さな動翼で調整し、ヘリでは不均一にローターのピッチを変えるサイクリックコントロールでローターの回転面内での揚力を不均一に変化させ、これから副次的に発生する強力なジャイロ効果をメインの力として機体の向き(と揚力)を変えることで調整し、マルチコプターでは各プロペラの回転数を変えることで推力を変化させ、この力の差による回転モーメントで機体の向きを調整する。


この仕組みはマルチコプターが一番簡単だが、だからと言ってこの調整が簡単だというわけではない。
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飛行機の場合は、このような図で自律的な縦の安定性を説明される場合が多く、だから重心は揚力の中心よりも前でなければならないというような説明でも利用される。
しかし、実際のところ、縦(上下)に安定するのに、重心が主翼の前にあることなど必須の条件であるわけがない。
飛行機に働く力のモーメントの合計が0になれば良いだけである。


Photo_5

この図のような場合でも力のモーメントの和が0にすることは当然可能である。この場合は先の場合と異なり水平尾翼で必要な揚力もマイナスでなくプラスなので翼の揚力をすべて無駄なく浮かべる力に使える。


しかし、飛行機が飛ぶには今まで述べてきた、力の単純な釣合やモーメントの釣り合いの他にさらに安定性が必要である。
具体的には、機体が何らかの原因で上を向いたときに機体が自動的に下を向項とする力が働き、下を向いたときに自動的に上に向うとする力が働くことである。
そうでないと、一旦上を向くと、手で機首を抑える操作をしないと上を向き続け最後には失速して揚力を失って墜落への道を進み、何とかその途中で頭上げを抑えることができても、今度は地面に向かって真っ逆さまに頭を下げるのを防ぐ操作をしないと墜落するという、一瞬でも気を抜けない操作が必要になる。
このために重心が主翼の余力の中心より前になければならないという説明がよくあるが、これは正確には間違いである。
この説明の多くは主翼だけを使うという間違いを犯しているが、実際には水平尾翼が作る揚力も計算しなければならない。
詳しい計算は面倒なので省くが(加藤寛一郎氏著 飛ぶ力学 など参照)水平尾翼が大きいほど、重心は後の図のように後ろにできる。

ただし、重心が後ろよりも前にある方が、抵抗が後ろに来るのでまっすぐ飛びやすくなる。
大きな主翼の後流にさらされる水平尾翼に大きな信頼を置くのも心配かもしれない。
飛行機の場合は風に乗らなければならないため、この他にもプロペラの反動や、気流と機体の向きの影響やらなんやら考慮しなければならないことが多い。

ヘリの場合は、飛行中は、風に乗る効果も無いわけではないが、ホバリング中は、ジャイロ効果(とわずかな揚力不均衡)で機体の傾きを調整するのが基本である。
マルチコプターに至っては、ジャイロ効果は単に制御を面倒にする厄介なものとして、プロペラのレスポンスを上げる効果のついでにプロペラをできるだけ低慣性で作って影響を少なくし、単純にプロペラの回転数の変化で推力のバランスを崩して機体の傾きをコントロールしているだけと考えても良い。
単純でわかり易いが、ヘリのジャイロ効果のようにパワフルではない。

マルチコプターは、構造的に単純で振動も少なく、大きく危険なローターも無いということでPhantomでブレイクする前から撮影用に使われていたが、安全な安定性を持っているとは言い難い状態であった。
しかし、Phantomは、専用の設計を選ぶということで、機体の最適化設計を簡単に目指せるようになり、また先見の明や優秀な設計力のおかげもあってたぐい稀なる優秀な機体を実現したのだろう。
先人の苦労ももちろん貢献しているに違いない。

飛行機の場合は、条件が複雑だが、長い歴史から飛ばしやすそうな機体の形状がある。

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ちなみに、この水上艇は、プロペラが水面から離すために中心から大きく離れているのが気になるだけで高翼のオーソドックスな機体で一見飛ば無いわけないだろうというような機体である。
しかし、実は主翼の外板を貼る時に、しっかり固定していなかったので接着剤の乾燥時に片翼がねじれてしまっていて、実際に飛ばして見るとエルロンをいっぱいに切っても片側への旋回を止めることができず、旋回率の調節だけでかろうじて滑走路の近くまで戻して不時着させて事なきを得た恐ろしい機体である。


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翼を重石で多少修正することに成功し、エルロンを思いっきり最初から効かせて何とかまっすぐ飛ぶようにして、ようやく水上試験にこぎつけた。
景気よく滑走始めたのは良いが、なぜか速度が出なくなりあわててこちらへ戻して、沈没寸前で手を伸ばしてようやく回収することができた。スチレンペーパー製の機体は、水漏れしないようにするにはそれなりの腕が必要なのである。
腕は足りないがお風呂で試験できる大きさなので水漏れを何度もバスコープやら接着剤で修正し、ようやく20分くらいは安心して浮いていられる状態になった。
しかし安全に離着水できる場所は近場にないので、大雨の後の大きな水たまりから無理やり離水と着水したが再び沈没と戦わなくてはいけなくなり、ついに電装品をふくろうに譲って退役した。
ま、こんないい加減な機体でも飛んでしまうところが飛行機の面白さでもあり奥深さでもある。


その点Phantomは、電気仕掛けの安定性がずば抜けて、撮影能力も高く画像伝送もできるので動画や静止画の撮影には抜群の威力を発揮する。

飛ばすのは簡単過ぎるし、あまりにも操作の感覚が違い過ぎるので飛ばすのを楽しむというよりは撮影向きである。
ハエが止まるほどの安定性も、超低空飛行ができるのも、腕の問題ではなく機体の高性能のおかげである。
旋回時は当然機体が横に傾かなくては向心力が発生しないので、かなり傾いているはずだが、ジンバルのおかげでほとんど水平にのままである。
ただし、水平の検出は重力の方向の時間軸の統計処理の方法だろうということが、旋回後しばらくわずかに傾いていることで推測できる。

もちろん墜落したラジコン飛行機の探索にも威力を発揮する。

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Phantom4での飛びとPhantom5

Phantomやヘリで速度を上げるには、水平方向の力を増やせば良いので、大きく傾ければ良い。しかしそうすると揚力に回る分が減るのでローターの力を上げて高度を維持する力を出さなければならないが、当然出せる力には限度がある。
傾くほど急速に揚力に回せる力の分力は減るのである。
速度は、水平の分力による加速度と前進の抵抗で決まるが、ぷプロペラのピッチは固定なので、速度が付いてくると流入する空気が増えて効率が上がるかもしれないが、ピッチで決まる量以上の空気は掻き出せないので速度が速くなると効率の低下も起きる。
減速は、Pantom4では、自然な減速でなく、反対向きに傾けてでも素早く減速させる方法で従来機を見慣れた目ではびっくりするほど機体を揺らして慣性を抑えて減速している。

嘘かほんとかはわからないがPhantom5の試作品と言っているこの動画では、くるくる引っくり返って飛んでいるマルチコプターが写っている。
Pahtom4の機体の揺らす力をそのまま維持すればこのような宙返りができた当然である。
問題は、スティックの操作が、加減速を機体しているのか宙返りを要求しているのか、判断する安全な方法を見つけることだろう。
ピッチコントロールでないプロペラの速度コントロールでは、プロペラの逆転時は制御性が著しく落ちるので、宙返りで消費する高度も大きくなる。
でもこんな研究をしてても不思議はない会社かもしれない。


古典力学

最近は相対性理論も古典力学に含める場合が多いらしいが、飛行機の場合も他の多くの分野と同じようにニュートンの古典力学で充分である。
古典という言葉は、なぜか若くてきれいな先生が多かった高校時代の思い出から、受験に必要のないが美しい趣味の世界というイメージで、美しい先生に巡り合わなかった可哀そうな人も含めて実用的でないという感じを受ける人が多いと思うが、エンジニアの世界では、古典物理学が基本である。



その中でも、運動の3方程式に代表されるニュートン方程式は、まとめた当人がどんなに変わった性格であったろうかに関係なく、必須の知識である。
世の中の見かけのは複雑な現象をどう考えたら、たった三つの式に集約できるのか、天才とはほど遠い良識人の自分には想像できない(こらこら、自分の知識のなさを無理に美化してはいけない)。
この動画は、別に感心したからというよりも、ニュートンの方式をデーンと書いてあったので載せただけだが当たり前のことを式で表わすと慣れた人には簡単でもそうでない人には混乱の元になるのかもしれない。

もっとも、このこのたった三つの式さえもいい加減な知識しか持っていない人が多い。
ラジコン飛行機を飛ばすことに免許制が敷かれることになったらニュートン力学は必須の知識である。

ニュートン力学の偉大なところは、力学の本質を表面的な常識にとらわれずに、本質的で簡単な理論を発見したことである。
現実的には、摩擦や空気抵抗など、様々な要素の影響が入ってくるが、それらが本質とは別の他の影響だと理解できたら次々と新しい見方が開けてくる。
自分の場合は、中学一年の数学の先生が、計算術ではなく、大学の数学のように原理から説明してくれる人だったおかげで何とか機械設計の仕事ができる程度の数学的考えが身についたと思うが、多分珍しく幸せなことだったのだろう。
中学や高校の先生レベルでは、こういう先生は、数学科を出た変な奴以外は無理だし、大学では、こういう変な奴くらいしか勤まらない。
どうせ忘れてしまう、特殊な場合の方程式をたくさん解くことが数学などと思っているようでは、日本の一般の数学のレベルは大したレベルにはならないだろう。

 

Fig11


式を使うのは、その方が簡単だからである。受験用の微分積分(今は違うかもしれないがで)は、面倒臭いそんなの無理に解かなくても良いんじゃないのというのが多いが、物理で使う微分積分は、しっかり現実に直結するものなので理解しやすい。
グラフを考えれば、線の傾きが微分、面積が積分なので、面倒くさい式もパソコンでプログラムすれば簡単である。
もっとも今は、数式を解いてくれるソフトが無料で手に入るし、CADソフトは強度計算までしてくれるしで、人間をどんどん能無しにしていくようでちょっと不安である。


人が乗るマルチコプター

Phantomの優秀さのおかげで、マルチコプターの利用がずいぶん目論まれているようだが、マルチコプターには、安全上の冗長性が足りないとは良く言われることである。
たとえばマルチコプターは、ヘリのオートローテーションのように、エンジンが止まったときにローターを降下時に回転させながらそれなりにゆっくり降りてきて最後に上昇のピッチに変えてフンワリ着陸するという芸当ができない。
昔はヘリのエンジンは止まって当たり前なので、不時着できる場所を縫うようにジグザグに飛行したらしい。
今でも人を乗せるのが主な目的の機体はエンジンが2機付いてるのが多いようだし、チヌークやオスプレイのようなローターが二つある機体は、それぞれのローターはシャフトで繋いでいる。
マルチコプターの場合は、プロペラが上手く回ってくれることと、たくさんプロペラをつけていくつか調子が悪くなっても死なない程度に降りてくることを考えているらしい。
もっともたくさん使えば、故障する確率もほぼ比例して増えるだろうから、この信頼性が確保されるまでは、テスト以外で許可になることは無いはずである。

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人が載るマルチコプターは、ドイツで検討中で、アメリカでは中国企業が実験を目指している。


ヘリはローターが折れたら真っ逆さまに落ちるだけだし、飛行機も主翼が折れたら一巻の終わりである。
今は、(ヘリはどうかわからないが)飛行機は車よりも死なない乗り物になっている。
そのうち、いくつかのプロペラが止まっても、ホレこの通り安全だよってデモが行われて、オスプレイのように安全なものになるのだろう。
(絶対に乗りたいとは思わないけど)

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でも出来たら便利かも

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